
令和2年度入所児童の花育教室の振り返り。
命のお話から、基本的な技術まで、いろいろなことをお花とのふれあいの中で学びました。
お米が田んぼで、ワカメが海で育つことを知らない子どもたち。
魚といえば、プラスチックの入れ物に横たわっている”モノ”としか認識できておらず、泳ぐ姿を想像できない子もいます。
花育教室でも、「え?!花って生きてるの?!知らなかった!!!」
という子どもが多く、講師の花育士も戸惑いがありましたが、1年かけて、ようやく花との語らいに慣れてきた児童もちらほらと増えてきました。
いまだに赤いバラを見て「これチューリップだよね?」と聞いたり、スイートピーを「スヌーピー!」と言ったりと、天然発言炸裂な子どもたちですが、だんだんと楽しくマイペースに集中して生けることが出来るようになりました。
嗅ぐ、押す、引く、回す、貼る、はがす、こする・・・
五感を使って、力加減も学び、手の巧緻性も育んできました。
花育はみんなで一緒に出来るのがいいところ♬
学校の算数の復習にもなったようで、「もっと花ちょうだい!」という女の子には、「1人〇本ずつだよ。先生の話聞いてた?」と"等分"を教えてくれる男の子もいました。
フラワーアレンジメントの型や生け花を教えるのは、まだまだ早いようですww
大人のレッスンでも花の数にこだわる方が多いのですが、これ以上挿したらどうなることやらww
花の声を「聴く」練習は、五感を使うことで空間認識能力を高められるきっかけにもなります。
そして、作品には今の心の状態が映し出されます。これも学びと成長の1つです。
以前、ハンター製菓さんより、チョコレートの寄付をいただいたので、お礼の手紙を子どもたちが書いてくれたのですが、中には
「今度はもっと美味しいチョコレートちょうだいね!」と書いた女の子が数名。
うーん、年齢に関わらず女は欲深いですね(笑)
2020年からコロナで学びの危機を経験した子どもたち。
働くこと、生きること、学ぶことについて子どもたちと考えるワークもありました。
「僕っちお母さんはお金持ちだから困らないもん!」
「物がなくなったってスーパーに行けばなんでもそろってるもん!」
「ほかの人が仕事無くなったって私は関係ないもん!」
「勉強出来なくたってユーチューバーになるからいいもん!」
「働けなくても親に養ってもらうからいいもん!」
「君」という字には、コ+ロ+ナが隠れています。
コロナがきっかけで、友達や家族のことを考える良いきっかけになった子もいたようです。
手作りのプレゼントをもらって「ありがとう」と言える子もほとんどいませんでした。
じっくりと一年をかけて、感謝の気持ちなどだんだんと自分の『心の在り方』と向き合えるようになりました。
「忙しい」という字は、「心を亡くす」と書きます。
親御さんにも真心こもった子どもたちの作品を見て、「なにこれ」「もっと花入れればいいのに」「もっとこうすればいいのに」ではなく、「頑張ったね」「きれいだね」「いい香りがするね」「どこに飾ろうか」という親子の絆を育むコミュニケーションに繋げていただければ、花育士としてこんなに嬉しいことはありません。
どんな大人になりたいのかな?
今どんなことに取り組まなきゃいけないのかな?
自分が発した言葉で、目の前の人はどんな気持ちになるのかな?
世の中にはいろいろな価値観があって、いろいろな人がいる。
否定しないで、拒絶しないで受け止めよう。助け合おう。
それを「多様性を受け入れる」っていうんだよ。
花も一つ一つ違う。みんな違ってみんないい。
だから美しい。
繊細で、かつ、たくましい。
だからこそ、伸びしろがある。
芽を摘まずに、芽を育てましょう。
毎日違う子どもたちの顔。
自分の頭で、考えて、感じて、行動しています。
毎日一歩一歩の着実な成長を間近で見守ることが出来て、とても面白いです。
同じ日がない児童クラブだからこそできる花育があります。
花育を通して、相手を思いやる心、自分の気持ちと向き合います。
素直に「きれいだね」という言葉が出てくるようになります。
『今ここ』の心の在り方や、感謝の気持ち、心の豊かさを育む花育。
情操教育を目的に行っていますが、これからの教育の在り方『主体的対話的で深い学び』ともダイレクトにつながっています。